LDA (局所密度近似)

密度汎関数は交換相関相互作用の汎関数 (Exc) の具体的な表式については何も示していない。一様な電子ガス(正電荷バックグラウンド中の自由電子集団)では交換エネルギーは解析解が得られており、相関エネルギーはモンテカルロ法で精度よく計算されているため、Excの表式がわかっている。
そこで各座標点rごとにその地点の電子密度と同じ密度の一様電子ガスの関数形でExcを表すことができると考えるのがLDA。

LDAが良い近似であるかどうかは計算結果が実験結果とどれほど一致するか、によって判断する。一般論で言えば自由電子を持つ金属は一様電子ガスモデルと似ていると考えられ、LDAが良い近似となる可能性がある。原子のように電子密度が原子の外では連続的にゼロになるような系では最悪の近似となるだろう(ref2)。

LDAは粗い近似ながら多くの物質の基底状態の構造を再現してきたものの、欠点としては以下4点が挙げられる。
1) バンドギャップが過小評価される。
2) 鉄の最安定状態 (体心立方構造で強磁性)が再現できない。
3) 強相関系では金属か絶縁体かも再現できない。
4) 格子定数が過小評価される。

こうしたLDAによるDFTの限界を超える理論的試みもおこわなれており、以下が知られる。
a) GGA
b) SIC(自己相互作用補正)
c) GW近似
d) 量子モンテカルロ法
e) DFT+U法

ref) ナノシミュレーションハンドブックを参考にした。
ref2) R.M.Martin, 物質の電子状態(上), p215, シュプリンガージャパン

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2011/8/31
2011/7/18